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読書Log;宮部みゆき『模倣犯』を読んで戦慄!なぜこのタイトルなのか?深まる謎と人間ドラマ

宮部みゆきさんの長編小説『模倣犯』を先日読み終え、その圧倒的な筆力とストーリーテリングに鳥肌が立ちました。

図書館で文庫本を借りたのですが、なんと5冊!

しかも結構な厚さ。

全部読み切れるかな、と不安を抱きつつ最初に3巻まで借りました。

図書館の貸し出し期間は2週間なので、少しハイペース気味に読み始めましたが...心配ご無用、ページをめくる手が止まらなくなりました。

普段は会社に行くときと昼休みしか読まないのですが、家に帰ってきてからも読み、休みの日も読み続けました。

2週間弱で3冊読み終わり、すぐに残りの2冊を借りにゆきました。

後半2冊はさらに面白くて、読み終わってしまうのがもったいなかった!

わたし
わたし

約1か月、どっぷりとはまりました。

犯人捜しのミステリーではない、巻き込まれた人たちの物語

実は、先にNetflixで台湾制作の実写ドラマ版を観ていました。

ドラマが面白かったので小説を読んでみたんです。前から気になってはいたのですが、文庫で5冊というボリュームに怖気づいていました。

ドラマも面白かったのですが、小説とはかなり設定が異なります。小説を読むことで、ドラマでは感じきれなかったこの作品の奥深さに触れることができました。

特に印象的だったのは、物語の早い段階で犯人が明かされているにもかかわらず、全く飽きることなく読み進められた点です。

登場人物それぞれの視点から丁寧に描かれる心理描写や感情の機微が、まるで自分がそこにいるかのような臨場感を与えてくれます。

『模倣犯』には連続殺人事件の犯人、被害者、被害者の家族、警察、ルポライターなどいろいろな立場の人が出てきます。

著者はそれぞれの立場で、その時の心情や、それでも続いてゆく生活の様子を丁寧に書いています。

わたし
わたし

ひとりひとり、立場の違いで感じ方がこんなに違うんだ。。

いわゆる「犯人捜し」のミステリーだと、登場人物ひとりひとりの性格や心情よりも、謎解きや種明かしに重点が置かれることが多いと思います。そして読者もそれを求めて読む。

だけど、本作は奇抜なトリックがあるわけでもないし、そもそも犯人がすぐに判ってしまうわけです。

読者は登場人物の葛藤や苦悩を追体験しながら、事件の真相へと引き込まれてゆきます。宮部みゆきさんの「ストーリーテラー」としての才能に、改めて驚嘆しました。

わたし
わたし

すごいのだよ。単なるミステリーじゃなかった。

タイトル『模倣犯』の謎

そして、この小説を読んで一番腑に落ちたのが、「なぜ『模倣犯』というタイトルなのか?」という疑問でした。

ドラマ版ではその部分が明確に描かれていなかったため(ちゃんと書かれてたかもしれませんが、わたしにはよくわからなかった!)、漠然とした疑問が残っていたのですが、小説ではそのタイトルの持つ意味が、物語全体を貫く重要なテーマとして浮かび上がってきます。

この物語はミステリーだけど、犯人捜しのミステリーではなく、なぜ『模倣犯』というタイトルなのか?というミステリーなのだと思いました。

わたしが感じた『模倣犯』の核心は、単なる犯罪小説にとどまらない、人間の心の闇、そして光を描き出した傑作であるということです。

まだ読んだことがない方には、ぜひこの奥深い世界を体験してみてください!

模倣犯(一) (新潮文庫 新潮文庫) [ 宮部 みゆき ]

小説とドラマ実写版との違い

最初にドラマの実写版を見ていたので、小説を読み始めたときあまりの人物設定の違いに戸惑いました。

おそらくこの長編小説をそのままドラマ化するのは、難しかったのではないでしょうか。

主要な登場人物の対比をしてみました。

小説 小説版での立ち位置 台湾ドラマ版での対応人物 ドラマ版での立ち位置
塚田 真一 本事件の発端となった遺体の発見者 グオ・シャオチ 本事件を捜査する検察官。遺体発見者ではない。
ピース(網川 浩一) 事件の首謀者、サイコパス チェン・ホーピン 小説のピースに近いが、職業などに違い。
栗橋浩美 事件の共犯者 シェン・ジアウェン ピースの共犯者、フージェンホーの幼馴染
高井 和明 栗橋浩美の幼馴染 フー・ジェンホー シェン・ジアウェンの幼馴染
有馬 義男 殺害された孫娘(鞠子)の祖父、豆腐店を営む マー・イーナン 殺害された孫娘(イージュン)の祖父、寺院を営む
前畑 滋子 フリーライター、事件を追う ルー・イェンジェン テレビ局の記者。事件の真相を追う。
主人公を検事にすることで、謎解き要素を盛り込んだのかなと思いました。

宮部みゆきさんの『模倣犯』は、ただのミステリーではなく、人間の心の動きを詳細に丁寧に書いた物語でした。
ドラマ版もよかったけど、やっぱりわたしは本が好き、小説が好き。この本の存在はもちろん知っていたけど、今まで読む機会がありませんでした。
本との出会いって、自分にとってちょうどよいときに不意に訪れるものなのですね。これからも素敵な本との出会いが沢山ありますように。
▼わたしの捨てられない本たち
▼今年は何冊よめるかなあ

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