辻村深月さんの「傲慢と善良」を読みました。
数ページ読んでアレって思いました、なんか読んだことあるかも、ドラマかなんかになったのかな??と思いながら読みましたが、途中で気がつきました。やっぱり読んだことある。
2021年から読書記録をつけているので、遡ってみましたが残っていませんでした。この本は2019年に出版されたそうなので、2019年から2020年末までの間に読んでいたのですね。
面白くてスラスラ読めたのになぜ忘れてしまっていたのでしょうか。おそらくですね、読書記録をつけていないからだと思うんです。今は読んだ本を写真に撮って記録はしていますが、正直に言うと写真を見返した時に内容を思い出せない本もちらほらとあります。せっかく読んだのにもったいないなあと思います。
じゃあ、読書記録をつけるかと言われると、たぶんわたしにはできません。写真を撮るのがやっとです。写真さえも忘れるんで。
ということで、2019年以降に読んだ本とわかって、ちょっとだけホッとしました。なぜかというと、2019年なら結婚していたからです。
未婚の状態でこの本を読むことは、わたしはちょっと、無理、ですね。
傲慢と善良と自己愛
題名の通り結婚(婚活)における傲慢と善良がテーマの小説です。読んでいて、とても苦しい、すごく辛辣で、でも的中していることをグサグサと言い当てられてしまう読書体験でした。
わたしが特にはっとしたキーワードは「自己愛」でした。
皆さん、謙虚だし、自己評価が低い一方で、自己愛の方はとても強いんです。傷つきたくない、変わりたくない。ー高望みするわけじゃなくて、ただ、ささやかな幸せが掴みたい、なぜ、と。
この一節を読んで、気がつきました。
ああ、これが傲慢さなんだ。
つらい、つらすぎる。こんなに真っ正面から言わなくてもいいじゃないかー
主人公の二人は(特に女性の方)は親の言いつけを守り、いつでも他人を優先して、控えめに生きて来た「善良」な人だったけど、とっても自己愛が強かった。少し極端な例かもしれないけど、結構いますよねこんな感じの人。
すごく親切で、いつも他人を思い遣っている、だけど相手がその思いやりに反するような行動をすると、ものすごーく傷つくとか。
これも自己愛の強さ故かなと思います。
わたしもこの傾向があったのでよくわかります。
物語では、主人公の二人が最後には成長して自分の幸せに向かってゆく姿が描かれていてホッとしました!
わたしの婚活の思い出
わたしも婚活をしていました、はい。
だから、主人公の男性がつぶやく言葉一つ一つが「わかるー」って感じでした。
「また最初からか」
「今回も違った」
「このまま誰とも出会えないのではないか」
わたしが婚活をしていたのは、まだ婚活アプリができる前で、大手の結婚相談所に登録をしました。年収とか様々な条件と写真を登録すると、月に4−5人紹介していただけて、その中でいいなと思う人に連絡をする、というシステムでした。
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まず、登録自体、相談所の事務所に行かなければいけなかったし、紹介いただいた方のプロフィールを見るのも、結婚相談所の事務所に行って設置してあるPCから閲覧しなければなりませんでした。
わざわざ事務所に行かないとみれないのかとびっくりしましたが、安心して活動することができました。だって、個人の端末で閲覧できたらそれを誰か他の人に見せたりすることも可能だし、別人がその人になりすまして連絡をしてくることも可能なわけですから。
今はどうゆうシステムになっているのでしょうね、結婚相談所も随分と身近な存在になったので、今は自分の端末でみることができるのかな?
合計何人の方に会ったかわかりませんが、10人以上は会ったと思います。どれも1回あっただけでお断りされたり、わたしの方からお断りしたりでした。婚活に疲れたというよりは、わたしには向いてないな(そもそも結婚しなくてもいいかも)って思い、半年くらいで退会してしまいました。
でも良い経験になりました。結婚相談所で「結婚はもういいかな」と気持ちの整理をつけることができましたので。
結局、その数年後にT氏と会って、あっという間に結婚してしまったので人生って何があるかわからないものですね。
結婚相談所を退会してから結婚するまでの数年間は、とっても生きるのが大変でした。それまでだって大変だったけど、結婚にまつわる事について本当に大変だった。
周りからの目、親の期待、とかよくわからないけど、いつも何かに急かされているような感じがしていました。
結婚相談所の担当さんに言われたことで、印象に残っていることがあります。
申し込みした人とうまく行かなくても諦めないで。
すぐに新しい人が紹介されるから、どんどん会ってください!
な、なるほどーって思いました。
すごーく合理的で良いシステムだと思いました!
だけど、良い人に出会った後は、恋愛と変わらないのではと思いました。初めからお互いに「結婚前提」としていたとしても、相手を知って距離を詰めていくプロセスは必要と思うのです。
今は結婚したのでもちろん結婚に対する焦りはありません。だけど、「傲慢と善良」を読んだ時、婚活の話題に触れた時、わたしの胸の奥がチクチクと痛みます。まだあの頃の気持ちが残っていて、顔を上げるような感じです。
結婚するのもしないのも、どちらも個人の選択で良いと思うけど、結婚という呪縛みたいなものが一刻も早くなくなるといいなあと願います。
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